森の中でクマさんに出会うのはあなたかもしれない話

最近の熊被害のニュース多くないですか?

怪我人や死亡者まで発生しているので、熊の危険だとわかるのですが、一方で自分とは関係ないものだと何となく思っていました。

 

ちょっと前までは…

 

実は去年(2020年)の7月の今頃、北アルプスで登山中にクマに会いました。

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道を歩いていると、視線の先に横を向いている大きな黒い犬がいて、

”犬にしては、少し足が太いよな、、、”

”気持ち、”どっしり”してるよな、、、”

と思っていると、

”あぁっ!クマだ!!”

ってな感じの出会いです。

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幸い距離が離れていた為、大声で歌ってこちらの存在を知らせると藪に逃げて行ったのですが、しばらくの間は、急に出てきて襲ってきたらどうしようと、神経を使いました。

 

今まで、木の幹についた爪痕や地面の足跡から、間接的にクマの存在を感じたことはあったのですが、直接にクマを目撃したのは初めてだったので、それなりの衝撃でした。

 

「山登り」って考えると、自然の中だし、そういう危険は織り込み済みだと思うのですが、今回は自分でも意外な場所で遭遇しました。

 

その場所は「上高地」です。

 例年約120万人の来訪がある北アルプスの玄関口。

登山客はもとより、綺麗な景色の中を整備された遊歩道で散策できることから、観光客も多い一大観光地です。

 

何故そんな来訪者の多いところに熊が?と思われた方も多いと思いますが、

これも2020年初めから始まったコロナ騒動の影響を受けているようです。

 

①緊急事態宣言による外出自粛

    ↓

②人々の活動範囲が縮小、鈍化

    ↓

③人がいないエリアに動物が頻繁に進出

 

市街地ではあまり感じることはないかもしれませんが、

クマに襲われた方のニュースを頻繁に聞き不安を感じている方も多いかと思います。

上高地をはじめとする山間部などではこの傾向は強いようです。

 

そもそも、私自身クマのことをあまり知らず「音を鳴らしておけば逃げるから大丈夫。ツキノワグマは大丈夫でヒグマは危険。」といったくらいの感覚だったので、ちょっと調べてみました。

 

日本には、本州・四国に生息するツキノワグマと北海道に生息するヒグマがいます。

 

ツキノワグマ

体長100~160cm

体重50~130㎏ (1967年に220㎏の個体が確認される)

雑食性(肉食よりも植物食に偏り)

時速40~50km

 

②ヒグマ

体長200~230cm

体重150~250㎏ (2002年体重400kgの個体が確認される)

雑食性(主として草食)

時速50~60km

【参考:WWFジャパンHP、札幌市HP、米田一彦「活かして防ぐクマの害」】

 

 

「体長」は四つん這い状態での頭から尾までの距離のことを指し、立ち上がると足の分だけ高くなるようです。

 

クマの体格をイメージしようと思ったのですが、東京オリンピックバレーボールの日本代表の平均身長が約188cm。少し体重が足りないようです。

 

「ザ・ビースト」の名前で知られた格闘家ボブ・サップは身長200cm、体重145㎏ということですので、ボブ・サップのイメージで良いような気がします。

 

多分目の前に立たれたら、デカいよりも、

太いという印象を持ちそうですね。

 

さて、そんなボブ・サップが万が一、登山中に襲ってきた場合、

走って逃げれないのかなと思ったのですが、

 

ボブ・サップ 100メートル 11秒(元アメフト選手)”

 

…うん、無理だな。

 

高校生の平均が14秒前後、高校生陸上短距離選手の平均が12秒前後。

”高校卒業もバリバリ短距離走ってました”という一部の俊足たちが、リュックや身に着けているものをバンバン投げて身軽になって、辛うじて逃げ切れるレベルじゃないでしょうか。

高校卒業後、ほとんど運動していない大抵の人は逃げ切れない模様です。

 

高校平均を下回る私はもちろん逃げ切れず、残念な限りなのですが、更に悲報が。

 

なんと、足の速いボブ・サップでも時速に換算すると時速約32㎞。

人類最速、天に弓矢を射るようなポーズで有名なウサイン・ボルトでも時速約38㎞とのこと。(ちなみに、あのポーズは「ライトニング・ボルト」というみたいです)

 

そんな人類最速男を上回る「クマの時速40㎞」ってどんだけ速いの。

 

1時間で40㎞

  ↓

1分で666m

  ↓

1秒で10m

  ↓

逃げるの無理じゃない?

 

冒頭の「犬にしては、少し足が太いよな。気持ち、”どっしり”してるよ。あぁっ!クマだ!!」を、試しに口に出して見たのですが、だいたい3秒。

クマが本気で来たら30メートル先でも文字通り、アッという間なのではないでしょうか。

 

また、クマは基本的に昼行性で、黎明薄暮に活動が活発になるとのこと。

こちらがヘッドライトで動いているような薄暗い時に発見できるか、かなり不安です。

 

別に、「危険なヒグマがいる東北や北海道に行かないから大丈夫」かというとそういうわけでもないようです。

 

厚生労働省「クマ類による人身被害について[速報値]」(2021年6月現在)によると、H20年からR3年の間、

ツキノワグマによる被害人数1216人、うち16人死亡

ヒグマによる被害人数37人、うち10人死亡

で圧倒的にツキノワグマによる負傷人数が多いようです。

 

都道府県別に見てみても、岩手211人、秋田144人と並び、

長野126人と、上高地を擁する長野県はかなりの数字。

 

どうしたらクマに遭遇し負傷する被害を防げるか調べたところ、

環境省自然環境局の「クマ類出没マニュアルー改訂版ー」に辿り着きました。

このマニュアルでは、クマの生態から遭遇時の対応まで詳しく取りまとめられています。

全体版は132ページの超大作ですが、概要版は14ページと大変読みやすいので気になる方は是非読まれて下さい。

クマ類出没対応マニュアル -改定版- || 野生鳥獣の保護及び管理[環境省] (env.go.jp)

 

クマ類に遭遇した際にとるべき行動を要約すると以下の通りです。

【遠距離】

落ち着いてその場から去る。

【近距離】

熊を見ながらゆっくりと後退し、クマとの距離をとる。

クマは突進してくるフリ(すぐに立ち止り地面を叩く等)をして後退することが多く、背中を見せて逃げ出すと対象を追いかける傾向があるため、慌てて逃げない。

【至近距離】

顔面・頭部が攻撃されやすいので、両腕でガードし、うつ伏せて致命的なダメージを最小限にする。(ツキノワグマは一撃を与えた後逃走する場合が多いため)

【心構え】

●親子連れの熊と遭遇した場合、母グマが攻撃してくる可能性大。子グマ単独でも、見たら速やかにその場から立ち去る。

●クマ撃退スプレー

顔に向かって噴射することが重要。事前に使い方を練習し、すぐに使えるように携帯する。

【参考:環境省自然環境局「クマ類出没マニュアルー改訂版ー」】

 

 

 近距離以降は危険な香りしかしないですね! 

しかも至近距離では、攻撃されることが前提です。

 

なので、まずは「クマに会わない」「クマに気づいてもらい逃げてもらう」ことが大切かと思いっていて、私も山に行く時は鈴やラジオを携帯しています。

 

 

ただ、近距離でクマに遭遇することを考えると、攻撃される(運が良くて負傷)ことから身を守る手段が欲しいくなってきました。

 

クマ撃退スプレーは持っていないので、購入し今後は持ち歩こうと考えています。

ざっと調べた候補は以下のとおり。

 

モンベル取扱い

①SABRE(セイバー)社製 234ml 噴射距離10.5m

安いもので税込み8,580円、ケースは別売り1,870円。合計10,450円なり。

モンベル | オンラインショップ | フロンティアーズマン ベアスプレー234mL (montbell.jp)

 

アマゾン取扱い

②UDPA社製 約480ml 有効射程9.0m

ケース付きで8,900円。

 

 

③POLICE MAGNUM(ポリスマグナム)社製 噴射距離 4.5m~7.5m

容量が異なる型番があり、

B609 約120ml 噴射距離4.5m 5,480円 ケース付き7,496円

B610 約480ml 噴射距離7.5m 8,127円 ケース付き10,797円

アマゾンの説明ではどちらも噴射距離が5mとの説明ですが、護身用品取扱店のウェブサイトを確認したところ、メーカー出荷直前の噴射距離でそれぞれ4.5m、7.5mとの記載がありましたので、そのくらいは期待できるのかなと思います。

 

④COUNTER ASSALUT(カウンターアサルト)社製 噴射距離5~10m

ケース付き13,700円

 

 

ざっと見て、高いなぁというのが率直な意見です。

しかしながら、それぞれ有効期限は2、3年ほどあるようですので、”もしもの時のお守り”としては許容できるかなという気がします。

 

値段の安さ(①か③の安い方(B609))を取るか、

容量の多い(②か③の高い方(B610))で迷っています。

 

レビューを見ていると夫婦で登山をされているであろう人が、「要領が大きい方を相方に持ってもらい、携行しやすく小さい容量のもの自分が対処し、その間に大きい方を準備してもらう」といった書き込みをされているのを拝見しました。

複数での登山ならそれもありですね。

 

また、上高地の公式サイトではクマの目撃情報等が共有されていました。

山間部にお出かけの際は、来訪先関連サイトを一度チェックされてみて下さい。

これだけでも、心構えが変わる気がします。

https://www.bes.or.jp/images/uploads/kamikochi/c36e127e8d158e04dfc999203b3e639c-1024x562.jpg

一般財団法人 自然公園財団

上高地 – 一般財団法人 自然公園財団 (bes.or.jp)

 

蛇足ですが、今回クマの事故について調べている過程で、どうやら蜂の事故のほうが多いという言葉を目にすることがありました。

 

前述の「クマ類の人身被害について[速報値]」では、H20年からR2年までの13年間でで26人が死亡しています。

年平均で2人。

それに対し、蜂に刺されなくなる人は、H26年~R1年の6年間で92人。

年平均で15人。 

クマよりハチのほうが危険かもしれません。

 【出典:「蜂に注意」(林業製造業労働災害防止協会発行)】 https://www.rinya.maff.go.jp/j/routai/anzen/attach/img/yonn-6.jpg

 

救急キットにはポイズンリムーバーも忘れずに!

 

以上、森の中でボブ・サップ クマに出会った場合の対処等の話でした。

 

最後まで読んで頂きありがとうございます!